日本経済は「穏やかな景気回復基調が続く」などと頻繁に耳にします。
ところが、平成29年度の年金額は平成28年度から0.1%の引下げとなることが、平成29年1月27日に厚生労働省から発表されました。
景気と年金額との関係はどうなっているのでしょうか?
景気と年金額との関係にかかる仕組みが理解できると、公的な「年金」に対する不信や不安が、少し和らぐかもしれません。
さて、ここからが本題です。
年金額は、物価や賃金の変動等を基準として、毎年度、自動的に改定されることとされています。この自動改定方法は非常に複雑ですが、最大限に単純化して計算式にしますと、「〇〇年度の年金額=所定の年金額×改定率」となります。
平成28年度の改定率は0.999でしたが、平成29年度の改定率は0.998と定められましたので、平成29年度の年金額は前年度の年金額と比べると0.1%の引下げとなる訳です。
では、この“改定率”とはどのようにして決定されるのでしょうか。
ここでも最大限に単純化して説明しますと、改定率は前年の物価変動率や2年前から4年前の賃金変動率等を基準として決定されています。
すなわち、平成29年度の改定率は、平成28年の物価変動率や平成25~27年度の平均の賃金変動率等を基準として決定されるのです。平成28年度の賃金の伸びが反映されるのは来年度の改定率からとなります。
以上、「景気回復基調」であるにもかかわらず、年金額が引下げられる仕組みについて、概略をご理解いただけたでしょうか。