「健康経営」にかかる講演会やセミナーに参加したことはありますか?
講演会やセミナーで取り扱われる事項は実に様々です。
例えば、従業員自身による健康促進の取組、健康経営に取り組む企業の事例紹介、データヘルス計画の推進とコラボヘルス、全国健康保険協会の取組、はたまた、健康経営格付と融資制度、公共調達における優遇措置といったテーマもあります。
議題が広範なため、講演会やセミナーの要所を掴みきれない、何から取り組むべきなのかを決断し難い、とお感じになった方も多いかと思います。
「健康経営」が主題化されることとなった背景を確認することにより、「健康経営」に対する理解が深まるのではないでしょうか。
さて、[健康経営」を取り巻く複雑な状況を整理するためには、『アクションプラン2015』〔次世代ヘルスケア産業協議会〕の内容を概観することが非常に有益です。
『アクションプラン2015』とは、次世代ヘルスケア産業協議会がとりまとめて2015(平成27)年5月18日に発表した、戦略市場創造プランに係る具体策の一つです。(「次世代ヘルスケア産業協議会」は、『日本再興戦略』に基づき、官民一体となって具体的な対策の検討を行う場として、2013(平成25)年4月に健康・医療戦略推進本部(内閣官房)の下に設置されました。同協議会の事務局は経済産業省が務めています。)
『アクションプラン2015』は、次のような基本認識の下、社会経済システムの再構築が必要であるとし、具体的な施策を示しています。
すなわち、
- 国民の平均寿命が50歳(男:1947年)から80歳(男:2013年)に伸び、人口構成が大きく変化している。
- しかしながら、現行の社会保障制度は社会構造の変化に対応できていない。
- 財政悪化を理由に社会保障サービスを制限せざるを得なくなる前に、いわゆる「生産年齢(15歳以上65歳未満)」の段階から、国民の健康管理を促す仕組みを企業活動や経済活動に組み込んでいくことが重要である。
- そのための各種の取組を、ヘルスケア産業として育成・発展させることが有用である。
との認識の下、健康経営・健康投資の促進に係る具体策として、
- ノウハウの共有、普及
- 人材の育成、活用
- インセンティブ付与(企業認定制度や低利融資制度等)
- 投資対効果(健康投資による健康改善度、企業成績・生産性の変化)の測定等
を示すとともに、医療保険者(健康保険組合等)や自治体に対しては、医療データを活用した医療費適正化の取組を促しています。
このように見てみると、「健康経営」は、当初から、一企業の経営手法に留まるテーマではないことが良く分かります。(続きは次回のメルマガで。)